引っ越し先はあたしの隣⁉︎






ガヤガヤザワザワ……。


グラウンドに出たあたし達は日陰になってる席につく。



相変わらず太陽サンサンに照りつけてるけど、午後は日陰が増えててそこはちょっと涼しい。



午後の部は応援合戦から始まった。



各チームのパフォーマンスはどれもかっこいい。
みんなの息が合ってて。なにより笑顔が眩しい。




隣で見てるなっちゃんは頬を押さえながら、ある人をみて「キャー!」とか「ヤバい」とか言っていた。



目線の先を辿っていくと


そこには他チームで応援団長の北川くんがいた。




彼はマッシュルームみたいな髪型をちょっと遊ばせてて凄く決まってる。太陽のせいで元が明るめの茶色がさらに明るくってとても眩しい。



さすが、校内一のイケメン。


太陽の光まで味方にしちゃうのね。




でも、隼田くんの方が……。


って何考えてるの、あたし!?



なんでここで隼田くんが出てくるのよ。

それより、なっちゃんだよ!



ほーほー、なっちゃん北川くんのことが好きなんだ。


それにしてもいつから好きだったんだ?




親友なくせしてなっちゃんのこと全然知らないって最低だ。


「まい、どしたの?下向いちゃって」



ひとりショックを受けているあたしに声をかけるなっちゃん。



「あ、いやー、ちょっと考えごとをしてて……」

「もー、また抱え込んでー。さっきも言ったよね?ちゃんと言ってよー」

頬を膨らませながら言ってくる。



「……あたしって最低な女だな、と思ってさ」

あたしは2学年が行ってる競技を見ながら言った。



「え、どういうこと?」

「なっちゃんの好きな人……今知ったの。ごめんね」

なっちゃんの顔をみて言った。

こんな親友でごめんね。


「え、なんで謝るの?!まいー、そんなことで落ち込んだりしないでよ。別に隠してた訳じゃないし。そのうち舞にも言おうとおもってたんだから」

と笑って言った。


ついでに、頬もつままれた。



痛いよ、なっちゃん。でも、ありがとう。


「やっと、笑った!ほら、やっぱり舞は笑顔が一番だよ!もっと笑いな!そんな小さい事で悩まないの!」


とおデコをツンとさせて言う。



笑顔が一番、か。


なっちゃんの言葉はほんと誰よりも心にズシッとくる。ほんとに助けられるんだ。


なんか泣きそうになってきちゃったよ。



「うぅ、…なっちゃんもう大好き!ありがとー!」

周りに人がいるけど、なっちゃんに抱きついた。



だって、本当に泣いちゃったから。



周りは応援してるのに一人泣いてるっておかしいでしょ?


そんなあたしをなっちゃんは優しく背中を撫でてくれた。



ほんと、なっちゃんが親友でよかった。









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