引っ越し先はあたしの隣⁉︎
この気持ち
〜斗真side〜
──バタンッ。
目の前で閉じられたドアを頭に手を置こうとしたままの格好でぼーっと見たまま突っ立っている俺。
てか、
「……俺、なにやってんだ」
伸ばしたままの手をゆっくり下ろし、その手をみながら呟いた。
はぁ、家戻ろ。
「ただいま」
「おかえりー、今日どーだったー?」
リビング越しから聞いてくる母さん。
「あー、……勝った」
そう一言言ってから、自分の部屋に入っていった。
母さんは『コミュニケーションが大事!』とか言って、いつも話しかけてくる。
正直、うるさいし、めんどい。
やたらテンション高いし、ほんとついていけない。
でも応えないと悲しい顔するから、仕方なく応えてあげてる。
俺ってやさしいと思わない?
ってキモ俺。
制服からラフな格好に着替え、ベッドに横んなった。
てか、俺さっき何してたんだ……。
なんか、あいつに目逸らされて傷付いたし。
笑ってるあいつみるとなんか胸の辺りがあったかくなるし。
……最近の俺はなんかヘンだ。
……あいつの髪、ふわふわしてて気持ちかったな。
なんかずっと触ってたくなってまた触れようとしたら
木下、家ん中に入ったんだよな。
しかも、俺の手を避けるように家に入っていった。
そんな気がした。
……俺、なんかしたっけ?
触られるの嫌だったとか?
もしかして、潔癖性?
目を閉じると、体育祭のことを思い出した。
……ほんとに木下のお陰なんだ。