引っ越し先はあたしの隣⁉︎
木下って凄くね!?
てか、表情がやばいんだけど。
真剣な顔になったり、キラキラな目をしたり、コロコロ表情が変わっていく。
やばい、なんか笑える。
けど、横から視線を感じて笑いを堪えた。
がんばれ。
おれは心の中で応援した。なんか応援したいって思ったから。
木下はどんどん進んで吊らされているロールケーキの前に立つ。
結構苦戦するんだろうなと思ったが、それを一瞬木下は取ってしまった。
「すげぇ……」
取った瞬間の笑顔はとてもいい表情してた。
その笑顔はとても幸せそうで。
見てるだけで温かく感じた。
ある男はうっすらと笑みを浮かべた俺を見逃さなかった。そして意味深な笑みを浮かべた。
四列目もあっという間に終わり、俺は1位の人を捕まえに行った。
ガッツポーズをとってる後ろ姿、木下を見つけ腕を掴み言った。
「速いのな」
「は、隼田くん!」
と少し驚きながら言った。
なんで驚く?
しかも、なんでここに?!って顔してるし。
だから腕に付いてるバッチを見せながら言った。
「なにびっくりしてんの。俺、実行委員だから」
付いてるバッチに目を向けて納得した木下は
「お、お疲れさまです」
と言って、ペコリと頭を下げた。
……。
俺は素っ気なく「どーも」と返す。
けど、内心は……。
え、なに今の。って感じで、一瞬木下のこと可愛いって思った。
やっぱ、俺ヘンだ。
素っ気なく言った言葉は、精一杯の照れ隠し、のつもり。