引っ越し先はあたしの隣⁉︎
午後は応援合戦から始まった。
今は応援合戦もとっくに終わって騎馬戦も終わって、最後のチーム対抗リレーが始まろうとしている。
俺はそれにでるんだけど。
アンカーなんだよなぁ。
めっちゃプレッシャーなんだけど!
ほんとこういうの苦手。
だってアンカーだぞ?!負けたら責任重大じゃん。
……ま、頑張るけど。
「よっ!」
後ろから肩を叩かれた。
聞きなれた陽気なその声は、真人。
「がんばろーな!」
「……キモイ」
「ひっでぇ!」とブツブツ言ってる真人を置いてチームの列に向かう。
なんで笑顔なわけ?!コイツのメンタル凄いわ。
俺は小さく息を吐いた。
「斗真、緊張してんの?」
と聞いてきたのは快斗。
……お前もかよ。
真人は足速いの知ってるけどさ、
見た目運動キライです、みたいな感じするからこういうのに出ないと思ったんだけど。
意外だったな。
俺はまた息を吐いた。
「そんな背負うことないじゃん。俺もアンカーだけど、緊張とかしてないし」
……。
…………え。
は!?
え、いま『アンカー』って聞こえたんだけど。
「いま、アンカーって言った……?」
「うん、言った」
「はっ!?」
嘘だろ!?真人より速いのかよ!?
そうだ、ここの列アンカーが並んでるところだった。
俺はまたため息。
「もうダメじゃん。真人とお前が居たら勝ち目ないって……」
こいつらに勝てねー。
無理だ。あー、責任重大決定だ……。
って情けねー、俺。
「そっか、じゃあ1位貰うわ。お互いがんばろーなー」
ひとり頭を抱えながら立ってる俺に、不敵な笑みを向けながらポンと肩を叩いた。
快斗ってこんな風にも笑うのか。
てか、その笑みムカつくんだけど。
……ぜってぇ、負けたくねー!
俺は心の中で叫んだと共に
《それでは最後の競技になります。チーム対抗リレーの選手入場!》
とアナウンスが流れた。