引っ越し先はあたしの隣⁉︎


ーーーーーーーーーーー

ーーーーーー
ーーー






俺は閉じてた瞼を開けた。


あたりを見渡すと部屋は真っ暗で、電気を付けていないことに気付く。





はぁ。


これで何回目だ、ため息。

なんか、起き上がるのもめんどくさい。


寝返りをうって窓を見た。


外はまだ明るい。




……今頃何してんのかな、木下。


ほんとにリレーの時は助けられたんだよ。


さっきまでのことを思い出す度にため息が出る。


さっきまでってのは玄関前でのこと。



先に帰ったと思ったらまだ帰路を歩いてて、だから家まで一緒に帰ってたんだけど。


そう、そこまでは良かった。





けど、木下が家に入る前にもう一つ言おうべき事を思い出して引き止めた。



そう俺が木下のこと応援してたことを。

なんか、知ってほしかったから。


これ言ったら絶対驚くんだろうなって。



俺は下を向いてる木下にゆっくり近づいた。

案の定、告げたら驚いた顔をして。


その瞬間、目が離せなくなった。

時間が止まったようで。




意外とまつげ長いんだな、とか。

二重なんだな、とか。

……可愛いな、とか。



思いながら木下の髪に触れようとした。




すると、バッと避けてドアの向こうに消えていった。




……。


この気持ちってなに。


なんで、こんなに苦しいのか分からない。

なんで……?




木下をみると何故かからかいたくなったり、触れたくなったり、……可愛いって思ってしまう。


すると思考を遮るようにリビングから母さんの声が聞こえてきた。



あぁ、もう夕飯か。


この気持ちはなんなのかは分からない。

けど、考えふけっているのも疲れるからそこで中断させてリビングへ向かった。









< 44 / 237 >

この作品をシェア

pagetop