引っ越し先はあたしの隣⁉︎
「あ、あの……!」
その声に振り向く。
「ぁ、えと。た、体育祭のときはありがとう」
え、体育祭?
「応援してくれてたみたいで……」
視線を外しながら言う。
ああ、あの時か。
って『応援してた』なんて言っちゃったんだよな。
「あ、うん」
あの時のこと思いだしてつい素っ気なく返してしまった。
…………。
しばらく沈黙。
木下はこの沈黙をどう思ってるか知らないけど、俺はこの沈黙というか空間は嫌いじゃない。
なんか落ち着く。
それは木下がまとう空気なのか、ただ単に好きだからなのか。
「隼田くんたちは何してたの?」
と沈黙を破ったのは木下。
何してたって……。
「何してたと思う?」
正直に答えてやればいいものを俺はニヤリとしながら言った。
「っ……し、知らないよ!」
なにこの反応、なんか可愛いんだけど。
「ふぅん、気にならないんだ」
「全っ然!気になんないから!」
ふん、と顔を背ける。
しょーがないな。
「勉強してた。木下は?」
「え!べ、勉強!?」
まー、あのメンツじゃ驚くわな。
「じゃあ、北川くんも勉強してたってこと?」
なんで真人のこと……。
「まぁ」
やべ、ちょっとイラっときて素っ気なすぎた。
それを聞いた木下は、「へー」と笑っていた。
なにこの笑った顔。
なんかムカつく。