引っ越し先はあたしの隣⁉︎






「で、木下は何してたの?」


真人の話になりそうだったから、話を切り替えた。



「え!あ、あたし達も勉強だよ」

と肩を落とした。



「はかどってる?」

「はかどるワケないじゃん」


はー、とため息を吐きながら言う。



「……イヤミですか」


は?


「なんで」

「だって、隼田くん頭良いから」

と口をとんがらせて言った。



「フッ」


やべ!

慌てて口を抑える。



「いま、笑った!ヒドイ!馬鹿にした!」

と指で指してきてさらにまた口をとんがらせている。



「いや、馬鹿にして笑ったワケじゃないんだけど」


馬鹿にして笑ったんじゃなくて、可愛かったから。

口をとんがらせただけの木下があまりにも可愛くて。


心の中にしまってた気持ちが少しこぼれてしまったんだ。



「ふーん、そうですか」

全然納得してない目だな。棒読みだし。


「な、なに……」

「いや、別に?」


どうやらずっと見てたみたいだ、木下を。



「やっぱり馬鹿にしてる。もう!じゃーね!」

とドアの向こうに消えていってしまった。



はぁー。分かってねー。



「馬鹿にするわけないじゃん。むしろ……」



好きだし。



そう小さく呟き俺も部屋へ戻った。




──その呟きをドアの向こうで息を潜めて聞いてる人物がいたとも知らずに。










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