引っ越し先はあたしの隣⁉︎
──15分後。
「はー!おわっっっっんない――――――!」
後ろにのけ反り嘆いてます。
もう三分の一は終わってると思いページをペラペラめくってみた。
……全然進んでないじゃん!
「もー数学なんてやりたくない……」
ため息交じりにつぶやき、伏せた。
はぁ。なんでこんな頭悪いんだろう。
頭悪い上に太ってて、言葉遣いも悪いし。ダメダメじゃん。これだから馬鹿にされるんじゃん。
もうため息しか出ない。
『馬鹿にするわけないじゃん。むしろ……』
ぅわ!!ななな、なんで!隼田くんが!!
あの時のことを急に思い出したあたしはガバッと起き上った。
テスト勉強会をなっちゃんと一緒にやって、「もう帰る時間だから……」と見送ろうと玄関を出たけど
また話し込んじゃったんだよね。
そしたら、隼田くんの家から北川くん、メガネを掛けた男の子が出てきて
その後から、隼田くんが出てきたんだ。
その時に目が合ったような気がして恥ずかしくて逸らしちゃったんだよね。
なっちゃんとふたりしてビックリして、挙句の果てに「ここはチャンスだよ!」と耳打ちされてあたしの声も聞かずに逃げて行っちゃたし。
当然ふたりきりなっちゃって、沈黙が続くわけなんだけど。
体育祭の時のお礼を言ってないと気付いて、隼田くんの背中に呼びかけた。
なっちゃんにも話して『頑張れ』って言われたから。
ここは勇気を出して呼んでみた。
たぶん声は震えてた。
……気付いてないといいな。