引っ越し先はあたしの隣⁉︎
静かな部屋に響くシャーペンの音。
それと、あたしの心臓。
どどど、どうしよう。
治まるどころか更に鼓動が激しくなってきて、もう目の前にいる隼田くんに聞こえてるかもしれない。
それにしても、やけに静かだな〜。
もしかして?と一瞬よぎる。
はは……ま、まさかね。
「ねぇ、ちょっと聞いていい?」
解いてるフリをしながら尋ねてみた。
「ん?なに。分からないところあった?」
「うんん、違くて。……あの、」
「……ああ、家には俺だけだよ」
ま、また心読まれた……。
っじゃなくて!!
「えっ!お母さんとか居ないの!?」
バッと顔を上げて言ったけど、だんだんと顔が赤くなっていくのが分かる。
だだだ、だって……!
隼田くんの顔が目の前にあるから。
至近距離にいる隼田くんも目を見開いて、そしてせき払いをしながら後ろに下がった。
そんな隼田くんの顔は少し赤くなってるような気がしたけど、きっと気のせいだよね。
「……あぁ、居ないよ。パートに行ってる」
「そ、そうなん、だ……」
ぎこちなく返事をした。
てことは、いま二人きり?!
あぁ、どうしよう。
鼓動が激しすぎて、心臓が痛いよ。
チラッと隼田くんを見てみる。
──っ!
慌てて目を逸らした。
隼田くんもこっちみてたから。
更に体温が上昇してくる。
……なんか、熱中症になりそう。
「ちょっと、休憩しよ」
なんか取ってくる、と立ち上がりながら言って、部屋を出て行った。