引っ越し先はあたしの隣⁉︎






突っ伏しながら目線の先にある消しゴムを弄っていると戸が開いた。

と同時にあたしは素早く起き上がる。



うわ、ダラけてる姿見られた。というか、もう自分の部屋にいる感覚でいた。


バカだあたし。ほんと呆れるわ、この性格。


その様子をみて、微笑みながら「アイス、食べる?」と両手に持ってるそれを見せながら聞いてきた。


うん、と頷いて受け取ろうと手を伸ばす。




──ヒョイッ。


あっ。

その瞬間目の前にあったアイスがどこかへ消えた。


消えた方向に目を向けるとアイスは上に。


あたしは手を伸ばし取ろうとすると、また違う方向に移動していくからそばで笑ってる人物を見た。


「もう!隼田くん!」

「ん?なに?」


隼田くんはヒョヒョイっとアイスを遠ざけながら言う。

しかも、笑顔で。


……そんな笑顔向けても今のあたしには無駄だよっ。


あたしはその場でピョンピョン跳ねた。

……いや、ドシンドシンかな。


もうそんな効果音なんて気にすることなくアイスを取りに行く。


「っ、はやたくん!返してーー!」

「フッ、そんな食べたいの?」


うっ。た、食べたいよ。

でもそんなこと言うと『食いじ張ってるな』って思われちゃう。


そんなのやだな。



あたしは伸ばしてる手を下に降ろして「……いい、食べない」と断って、大人しく宿題をやり始めた。



可愛くないな、あたし。


すると上からため息が聞こえてきた。

あぁ、呆れちゃったかな。面倒くさい女って思ってるよね。



しょうがない、もうとってしまった行動はあと戻りできない。


こんな自分が悔しくて歯を食いしばった。







< 67 / 237 >

この作品をシェア

pagetop