引っ越し先はあたしの隣⁉︎
「木下、ごめん。ちょっとからかい過ぎた」
としゃがんで右手でアイスを差し出し、左手は後頭部をかいて言った隼田くん。
「ん、どーぞ」
ズイッとアイスを差し出す。
……やばい、かも。今の隼田くんなんか可愛い。そっぽ向いて差し出してきてるだけなのに。
こんな小さな行動でもきゅんときちゃうなんて、ほんとにあたしは恋してるんだなって思う。
「……なに笑ってるんだよ」
「え、笑ってないよ?」
どうやら顔がほころんでいたらしい。
「で、いらないの?」
まだ受け取ってないアイスを目の前でブラブラさせて聞いてくる。
「い、いりますー!」
あまりにも笑顔で言ってくるもんだから恥ずかしくなって目を逸らした。
そして、バッとアイスを隼田くんの手から奪い取り、食べる。
食べちゃえばあたしのものだからね〜♪
んー!美味しっ!やっぱ夏はアイスだよね〜!
と幸せに満ちていると
クスクスっと笑い声が聞こえた。
「ご、ごめん!あまりにも美味しすぎて!お見苦しいところを……」
やっちゃったよー!もう、あたしのバカッ!
幸せすぎて一瞬隼田くんを忘れちゃったじゃない。
好きな人を忘れるって……アイス恐るべし。
ちらっとアイスをみて思った。