引っ越し先はあたしの隣⁉︎
「木下の食べっぷり好きだよ。幸せそうに食べるな〜って」
……え。
す、き……?
いやいや、違うからっ!なに勘違いしてんの!?あたし!
隼田くんは『あたし』じゃなくて、『食べっぷり』に言ったんだから。
も〜〜。
「ど、どーも」
声が震えないように言った。
「俺もたーべよ」
そう言って隼田くんは袋から取り出し口に運んだ。
……キミも幸せそうに食べるじゃない。
もうその笑顔は反則なんだってば!
これ以上見てたら心臓止まっちゃいそうだからアイスに集中することにした。
──休憩して30分後。
あたし達は再び勉強を開始しました。
分からないところは隼田くんに教えてもらって、「ほんとにバカなの?」とか「おーい?」と顔を近づけてくるしで、あたしの頭は勉強どころかもうパンク寸前で。
……うぅ。もう帰りたいよ。もう自分が保たない。
でも早く終わらせたいっていう気持ちは大きかったから頑張った。
こんなバカなあたしにイヤな顔ひとつもしないで、相変わらずあたしの心を鷲掴みするような笑顔で教えてくる。
なんで笑顔なの?って思う。
あたしだったら絶対イライラするのに。
隼田くんは優しいもんね。
転校してきた当初。
教室に現れた隼田くんは目つきはキリっとしててちょっぴり近寄りがたい雰囲気を出してたけど、話してみるとすごく優しくて、たまに意地悪で、笑顔がまぶしかった。
そして、だんだんと惹かれてる自分がいたんだ。
目の前で宿題を一生懸命やっている彼をチラッと目を向ける。
ねえ、隼田くん。あたしが好きって言ったらどんな反応してくれますか?
喜んでくれる?
たとえ、あたしを恋愛対象にしてなくても『友達』として受け止めてくれる?
「ん?なに木下。また解らないと、ころ……ってどした?!」
あたしの視線に気付いたみたいで隼田くんは顔を上げ、そして目を見開いて聞いてきた。