引っ越し先はあたしの隣⁉︎
あ、いま何時だろう。
スマホ画面を見ると16時になろうとしてた。
「あのー、隼田くん。あたし帰るね」
「あ、ああ。ごめん、さっき帰ろうとしてたのに。コイツが入ってきたから」
北川くんを指差して言った。
「え、俺ジャマだったの?」なんてニヤっとしながら隼田くんに言うけど、それを無視してあたしを玄関へ促した。
「隼田くん、冷たいね」
「そー?……だってアイツ、ウザいんだもん」
と笑いながら言った。
その笑顔はとても優しくて決して北川くんを嫌ってるようにみえなかった。
「今日はありがとう!助かりました」
「いーえ、俺も終わったし。楽しかったし」
──キュン。
あぁ、この笑顔はだめだよ。隼田くん。
またドキドキ再発しちゃったじゃん……。
「ほんとにー?呆れなかった?」
これ今一番聞いてみたい質問。ほんとは言わないつもりだったけど、なんか口が勝手に動いていた。
たぶんこのドキドキのせいだ……。
「呆れる?なんで。一度もそんなこと思ったことないよ。ほんとに楽しかったし」
「……そっか。あたしも楽しかった!本当にありがとう!」
隼田くんの笑顔を見て安心した。ウソをついてるような笑い方じゃないと思ったから。
あたしは最後にもう一度お礼を言って、隼田くん家を出た。