引っ越し先はあたしの隣⁉︎
隼田くんがあたしと行きたい?
……それほんとに言ってるの?
《俺、嘘は言わないから》
うっ。エスパー隼田くんきた。
まだ信じられていないけど、断ったら隼田くんが悲しくなるのかなって思った。
ちょっと自惚れてるかもしれない。
あたしも好きな人と花火大会とか夢見てきたから、その夢が叶うならあたしの答えは直ぐだった。
「……あ、あたしで良かったら、行きます」
《…………》
え、無言?!
あぁ、またからかったのか。
だよね、こんなあたしと花火大会とか笑っちゃうよね。
……さっき嘘言わないって言ったじゃん。
だったら、そんなこと言わないでよ。
「ご、ごめんね。冗談だよね!あはは、やっぱ──」
《違う!ごめん、勘違いさせちゃったよな。違うんだ、あまりにも嬉しすぎて……》
とあたしを遮って言った。少し焦った声で。
それより、今『うれしい』って言った?
「……うれしいの?」
《うん、嬉しいよ》
隼田くんはスマホの向こう側で笑ってるような気がした。
《あ!ちょ、おまっ!……あ~もしもし!木下ちゃん?》
隼田くんとは違う明るすぎる声が耳に響き、北川くんに代わったんだと理解する。
「あ、はい。木下です……」
《ごめんね~、うちの子が。今すんごい嬉しいみたいだよ。もう顔真っ赤!!》
と笑いを堪えながら言ってるけどすごい爆笑してる気がする。
きっと隼田くんのことを指しながら言ってるんだろうな。
なんか、隼田くん可哀想。
北川くんが言うには今の隼田くんは嬉しすぎて顔が真っ赤になってるらしい。
な、なんかあたしまで顔が熱くなってきちゃった気がするんだけど。
あいてる左手を自分の頬に当ててみた。
やっぱり熱い。鏡をみると真っ赤になってる自分が写っている。
う、いま光樹が入ってきたら絶対言われるよ。
あたしはパタパタと顔を手で仰いだ。
《あー、木下?いま真人が言ったこと気にしなくていいから》
スマホの向こうはもう隼田くんにチェンジしてて、彼は少し強めの口調で言った。
いまのは、照れ隠しなのかな?
照れてる隼田くん可愛いかも。
って、なに考えてんのよ!あたし!!ヘンタイか!!
ま、隼田くんが照れるわけないか。少なくともあたしに対しては。
だって、友達だもんね。
「わ、わかった。気にしてないから大丈夫。顔が真っ赤じゃないってことね!」
《めっちゃ気にしてるじゃん!》
とナイスツッコミをいれ、2人して笑い合った。