引っ越し先はあたしの隣⁉︎
《じゃ、花火大会は来月の8日で19時に駅に集合な》
うん、と言おうとしたがふと頭を過ぎった。
ちょ、ちょっと待って。もしかして……2人で?
いやいやいや、それじゃあダメだよ!あたしの心臓が持たない!
パニックを起こしてるあたしに隼田くんが言った。
《あのさ、木下の友達も呼んで欲しいんだけど。いい?真人がさ──》
ホッ。よかった、2人きりじゃない。
…………。
え、友達……ってなっちゃん……だよね。
なんで、なっちゃんにも来てほしいんだろう……?
脳裏に影がよぎった。
もしかして、隼田くん……な、なっちゃんのことを?!
《──でさ、》
どうしよう。これ失恋確定だよね。なっちゃんじゃ敵わないよ……。
花火大会で、もしかしたらなっちゃんに、こ、告……っ!
や、やだ。
で、でもなっちゃんは好きな人がいるんだよ。だから大丈夫だよ。
もう最悪な方向に考えが集中してしまう。
《……い!……したー!…おい、木下!聞いてるの?》
「は、はいっ!!」
びっくりし過ぎて声が裏返ってしまった。
《木下さっきの話聞いてた?》
「ご、ごめんなさい!聞いてませんでした……」
そうだった。まだ隼田くんと電話中だったんだった。
《真人が木下の友達のことが気になるらしくて》
《ごめん!ちょっと連れてきてほしいんだ。オレなんか飯島さんのこと、その……す、好きみたい、で!》
とつづけて北川くん。
ほーほー。
さっきまで不安だった心が一気に軽くなった。
いますごくホッとしてる。
なっちゃんっ、よっかたねー!両想いだよぉおおお!!
あたしは心のなかで叫んだ。
それにしても、北川くん意外と真面目なんだね。外見はほんとチャラチャラしてるけど、なんかヘンなの!
だって、眩しすぎる茶髪でいかにも女の子と遊んでます。
的な雰囲気の人がさ、好きな人に対して『さん』付けしてるんだよ?!
そう思ったら笑えてきた。