引っ越し先はあたしの隣⁉︎
ただいま一人ドアの前で立ち尽くしてます。
なぜかお母さんにつられて一緒に外に出てしまったあたし。
お母さんは隼田くんのお母さんと仲良くなっちゃったみたいで、下でお話し中。
こんなところにいてもつまんないし戻ろっかな。
うん、戻ろう。
ドアノブに手をかけようとしたとき、ふと黒い影があたしを覆った。
振り向くと隼田くんが近くにきていて。
え。な、なに?!
少しパニクってるあたし。
な、なんだろ。てか無言だし。近くに立たれても……。
き、気まずいなー。
こうゆう時どうすればいいの!ほんとに無言で立たれても困るんですけど!
まさか、今日きた転入生がお隣さんだとは……。
チラッと見上げてみた。
──っ!!
隼田くんがこっちを見ていた。
わわわ。
あたしは恥ずかしくなってうつむく。
なんか恥ずかしいんですけどっ。なんでこっち見てるのーっ!
今絶対顔が赤い!熱いもんっ。
まだこっち見てるような……。
視線が突き刺さってる感じがして早く逃げたい衝動にかられる。
「よろしく」
先に沈黙を破ったのは隼田くんだった。
背後から声をかけられ、あたしはゆっくり振り向く。
「よ、よろしく」
突然すぎて声が震えてしまった。
「フッ」
え、笑ってる?なぜ笑う。
「な、なに」
突然笑った隼田くんに聞いた。
「いや、別に?」
なに、その答え方。なんかムカつく。
「ちゃんと言ってよ」
ムッとしながら声のトーンを低くして聞いた。
「…………」
え、黙っちゃうの?!
また、沈黙が。この静けさ嫌だな。だから男子とふたりっきりとか嫌なんだよ。なに考えてるかわかんない。
「まぁ、いいや。よろしくねっ」
あたしは逃げるように捨て台詞を残して家に入っていった。