引っ越し先はあたしの隣⁉︎
スマホ画面に表示されている彼の名前をあたしは信じられない気持ちでみつめる。
ウソでしょ。ウソでしょ!ウソでしょ!!
隼田くんと花火大会?!!
どどど、どうしよう!!!
え、本当に信じられないんだけどっ。
いまだになんであたしなの?って思ってしまう。
でも、ちゃんと聞いた。聞いたんだよ。
『俺が木下と行きたいって思ったんだ』
『嬉しいよ』
って確かにちゃんと言ってた。
わあ、ほんとに約束しちゃったんだ……!
と、とにかく!まずは落ち着こう。落ち着け、舞美。
って、落ち着けるわけない。
嬉しすぎて部屋中を駆け回っていると、戸が開かれた。
「あの~、ドタドタうるさいんですけどー!」
戸に寄りかかりアイスを食べてる光樹がいた。
おい、それ何個目だよ。と心の中でつぶやきながら、その場に座った。
最悪なタイミングで開かれたし。
絶対聞いてくるっ。
「なんかいいことでもあったのー?」
ほら来た。
ベッドの上に座りながら聞いてくる光樹にあたしは「別に?」と曖昧な返事をした。
そう言って少し後悔した。
こんな曖昧な返事したらまたズカズカと聞いてくるに決まってる。
光樹の性格からして気になることはなんでも聞きにくるタイプだから。
どきどきしながら光樹の返答を待つ。
「ふーん。別にどうでもいいけど。舞美の事なんてどうでもいいし!
と・に・か・く、ドタドタやめてよねー。家壊れちゃうから」
アイスを食べ終わった光樹はぴょんっとベッドから降りて、余計な一言を置いて足早に部屋を出ていった。