引っ越し先はあたしの隣⁉︎
むわっ。
外へ出た瞬間湿った暑い空気があたしをまとう。
ほんとに表現するならそんな感じ。
「うっわー、暑すぎるよ……」
ってそんなのんびりしてられない。
急がなきゃ。
あたしは急ぎ足で階段を下りた。
──ギィ。
上からドアを開ける音がした。
あたしは階段を下りきったところで、一歩下がり見上げた。
──っ!!
そこには白のTシャツに黒のベスト、ジーパン姿の隼田くんがいた。
すると、彼もあたしに気付いたみたいで目線があった。
「お、おはよう!」
「お、おー。おはよ」
隼田くんの私服姿はじめてみた。
いや、初めてではないか。
だって、宿題手伝ってもらったとき普段着だったもん。
……普段着って私服に入るのかな?
ま、いっか。
「なー、暑くないの?」
へ?
あ、あれ?上にいたはずの隼田くんがいない。
声が聞こえたほうに顔を向けると、すぐ近くに隼田くんがいた。
「っうわ!」
「なんだよその反応……。傷つくんだけど」
「ご、ごめんっ。いやびっくりしちゃって……」
「なんでびっくりしたの?」
「えっ………と、」
な、なんでそんな質問するのーー!
ほんと、
「隼田くんっていじわるだよね……っ!!」
しまった!!
あたしはとっさに手を口に当てて隼田くんの様子をうかがう。
けど、うつむいてて表情が分からない。
やばい、今すんごい逃げ出したい!
どうする、舞美。
隼田くんは怒ってるのかな。
逃げ出したりなんかしたらもっと怒るよね……。
もー!あたしは一体何してるの!?
せっかくの素敵な一日が台無しになってしまうのかな。
そーいえば、時間!
「は、隼田くん?あの、あたしもう行くねっ」
まだうつむいてる隼田くんに恐る恐る声をかけて駅のほうに向きをかえた。