引っ越し先はあたしの隣⁉︎






「おーい!おっせーよ~!こっちこっち〜!」



集合場所にやっとたどり着いたところで前の方から聞こえてくる明るい声が聞こえてきた。


そこには北川くんが大きく手を振っている。



横にいる隼田くんは呆れ顔をしながら右手をあげ、「あいつ、恥ずくないの?」と言った。



口元は緩んでたけどね。



隼田くんが言った『恥ずくないの?』というのは元気良く手をブンブン振ってる姿と服装。


なんと甚平姿!


いや、かっこいいけど。

うん。やっぱり、どこかチャラい……。



隼田くんがそれに指摘したら北川くんは「だってデートみたいなもんでしょ?!」って。


いやいや、デートじゃないからっ!


ま、これからふたりはデートになると思うけどっ。


……張り切りすぎだよ。



そんなふたりのやり取りを聞きながら相変わらず元気だな、と感心しつつ


なっちゃんの姿を探した。


……まだ来てないんだ。



ん、もしかして。



あたしはカバンからスマホを取り出し画面を点けた。



ハハッ、やっぱり。



メールを開くと


【まい!ごめんっ!ちょっと遅れますっ!本当にごめんねっ(><。)先にみんなで行っててくださいっ!またねっ】


そう書いてあった。



そう、なっちゃんは遅刻常習犯なんです。

待ち合わせすると大体こんなパターンで。
もうあたしは慣れてるけどね。


まー、ちょっと困っちゃうけど、女の子だなーって思ったりもする。

だって、お化粧とか洋服選びに時間かかかってるんだろーなって思うから。



今回はあたしもお化粧とかしてみたけどバッチリじゃないからね。

それに似合わないから、ほんとわからない程度にやっただけだし。


なっちゃん、しょうがないなー。


あたしはもう一回メールをみて、なっちゃんに了解メールを送った。




「木下、どうした?」

肩をポンとしてから隼田くんが言った。


遅れるってこと伝えないとね。



「あ、実はさっきなっちゃんからメールが来てて……遅れます、ということです」


なっちゃんの代わりにペコッと頭を下げた。






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