“毒”から始まる恋もある
1.恋は戦い
恋多き女っぽいとか、怖いモノなさそうとか、がっついてるとか。
いつも散々に言われるけど。
そんなことないのよ。
男も女もイメージだけで決めつけてくるから嫌だわ。
私は、真剣に恋をしていただけなのに。
*
【刈谷史恵様
誕生日パーティを企画しています。
仕事が終わったら来てね~】
まだ冬の風が吹く三月。
会社を出ようとした私は、受け取ったメールをみて一瞬絶句する。
差出人は同期で営業事務をしている彩音(あやね)だ。
確かに、ランチの時に夜は暇かと聞かれていた。
独り者に誕生日の夜の予定の空きを確認するなんてなんて嫌味な、と思っていたらそういう企画だったのか。
【了解】
と返したものの、出るのはため息だ。
そうよ。
誕生日なのよ。
今日から三十なのよ。
誕生日に一人なのは辛い。
だったらせめて仲間で盛り上がってって気持ちはまあありがたい。
それが二十九歳の誕生日なら私も嬉しかった。
でも三十歳なのよ。
なんとなく自分でも自虐的になっちゃう歳になったの。
でもまだまだ若いし今どき三十で独身なんて当たり前だし、とか言えないこともないけど、言った後ため息が出ちゃうような歳なのよ。
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