“毒”から始まる恋もある
*
数家くんからの電話は、その日の夜にかかってきた。
『俺、来週は木曜も休みなんです。夜、食べにきませんか? 【U TA GE】に』
「……休みなのに【U TA GE】で食べるの?」
『俺の中では一番旨い店ですからね』
これはまた面白いこと言うわね。
サダくんに負けず劣らず、自分の店のことは大好きなんだな?
「……ところで今は営業用なの?」
『あ。……もういいじゃないですか。敬語キャラってことで勘弁して下さいよ』
「でも、なんかイヤなんだもの。ねぇ、数家くんって歳いくつよ」
『そんなに変わりませんよ。二十八です』
ほうほう、二歳下か。
「【U TA GE】で勤めて何年なの?」
『開店と同時ですから五年ですね。その前に勤めていたところで今の店長……片倉さんとは一緒だったんです。開店する際に一緒に引き抜いてもらったって感じですね』
「数家くんのこと、凄い信用してそうだったもんねぇ」
『俺、高卒で就職したんですけど、最初に勤めた店の店長が職人気質の料理人で。俺を板前に育てようと頑張ってくれたんです。それこそ、調理師学校にも行かせてもらったし、板前だった片倉さんの下で勉強もさせてもらえて、感謝してます。
……でも、俺、接客は好きだけど調理はあんまり好きじゃなくて。片倉さんはそれを見抜いていたんですよね。『お前のやりたいことやらせてやるから俺の店に来い』って」
おお。なんか格好いいな。誘い文句。
数家くんからの電話は、その日の夜にかかってきた。
『俺、来週は木曜も休みなんです。夜、食べにきませんか? 【U TA GE】に』
「……休みなのに【U TA GE】で食べるの?」
『俺の中では一番旨い店ですからね』
これはまた面白いこと言うわね。
サダくんに負けず劣らず、自分の店のことは大好きなんだな?
「……ところで今は営業用なの?」
『あ。……もういいじゃないですか。敬語キャラってことで勘弁して下さいよ』
「でも、なんかイヤなんだもの。ねぇ、数家くんって歳いくつよ」
『そんなに変わりませんよ。二十八です』
ほうほう、二歳下か。
「【U TA GE】で勤めて何年なの?」
『開店と同時ですから五年ですね。その前に勤めていたところで今の店長……片倉さんとは一緒だったんです。開店する際に一緒に引き抜いてもらったって感じですね』
「数家くんのこと、凄い信用してそうだったもんねぇ」
『俺、高卒で就職したんですけど、最初に勤めた店の店長が職人気質の料理人で。俺を板前に育てようと頑張ってくれたんです。それこそ、調理師学校にも行かせてもらったし、板前だった片倉さんの下で勉強もさせてもらえて、感謝してます。
……でも、俺、接客は好きだけど調理はあんまり好きじゃなくて。片倉さんはそれを見抜いていたんですよね。『お前のやりたいことやらせてやるから俺の店に来い』って」
おお。なんか格好いいな。誘い文句。