“毒”から始まる恋もある
*
……そんなこんなで、今私は必死に自分なりの心得を谷崎に伝授しているわけだ。
「でも、刈谷が最終的に【U TA GE】の店員と付き合ってるとは知らなかった」
「ふふん。恋は何処に転がっているか分からないのよ」
「さすが常にアンテナ伸ばしている女は違うな」
「ほっとけ」
なんと言われようと、幸せいっぱいの今は堪えないから。
「あー何が違ったのかねぇ」
谷崎が大きなため息をつく。
ちらりと私を見て「もうバレてるから言っちゃうけどさ」と前置きする。
「俺、絶対落とせるって思ってたんだよね、刈谷のこと。いつも物欲しそうにしてたしさ、誘えば簡単に着いて来るんだろうなって。実際、最初の部屋に連れ込んだときは簡単だったし」
「あの時は失恋の傷が癒えてなかったからよ」
むしろ、アンタに軽んじられたから身持ちが固くなったとも言う。
「でも本気になった途端に全然釣れねぇっていうか。俺も意識するとなんか上手く言えねぇし」
「そうね。アンタは予想外に照れ屋さんだったわ」
まさか、眼鏡を直すクサイ仕草が照れ隠しだとは気づかなかったもの。
でもあれ、止めたほうがいいわよ。
回数を重ねるほどウザく見える。
「私、谷崎は格好つけようとしないほうがいいと思うわ」
「そうか?」
「うん。ただ偉そうになるだけなんだもん。本当に偉いならそれでもいいけどさー。ただの平社員じゃん」
「お前はその一言多いのを何とかしたほうがいいぞ」
軽いどつきあいをしながら【U TA GE】の前まで着いた。
……そんなこんなで、今私は必死に自分なりの心得を谷崎に伝授しているわけだ。
「でも、刈谷が最終的に【U TA GE】の店員と付き合ってるとは知らなかった」
「ふふん。恋は何処に転がっているか分からないのよ」
「さすが常にアンテナ伸ばしている女は違うな」
「ほっとけ」
なんと言われようと、幸せいっぱいの今は堪えないから。
「あー何が違ったのかねぇ」
谷崎が大きなため息をつく。
ちらりと私を見て「もうバレてるから言っちゃうけどさ」と前置きする。
「俺、絶対落とせるって思ってたんだよね、刈谷のこと。いつも物欲しそうにしてたしさ、誘えば簡単に着いて来るんだろうなって。実際、最初の部屋に連れ込んだときは簡単だったし」
「あの時は失恋の傷が癒えてなかったからよ」
むしろ、アンタに軽んじられたから身持ちが固くなったとも言う。
「でも本気になった途端に全然釣れねぇっていうか。俺も意識するとなんか上手く言えねぇし」
「そうね。アンタは予想外に照れ屋さんだったわ」
まさか、眼鏡を直すクサイ仕草が照れ隠しだとは気づかなかったもの。
でもあれ、止めたほうがいいわよ。
回数を重ねるほどウザく見える。
「私、谷崎は格好つけようとしないほうがいいと思うわ」
「そうか?」
「うん。ただ偉そうになるだけなんだもん。本当に偉いならそれでもいいけどさー。ただの平社員じゃん」
「お前はその一言多いのを何とかしたほうがいいぞ」
軽いどつきあいをしながら【U TA GE】の前まで着いた。