“毒”から始まる恋もある
*
徒歩だから移動距離は少なく、いくつか店を巡ったあと、駅ビルの地中海風居酒屋に入る。
白地の壁に海をイメージした青地の波模様が描かれている。ところどころに貝殻や投網みたいなものが飾られていた。
徳田さんが食べ歩きが趣味だと言っていたのは本当みたい。彼はいろんな店を知っている。
「ハイ、飲んで飲んで」
「頂きまーす」
一応今日もカクテルを中心に頼む。徳田さんはいつもビールだ。
「徳田さんは食通だけどお酒はいつも同じなの?」
「え?」
「ほら、日本料理なら日本酒とか、この料理ならワインとか。合わせたりしないの?」
「あんまりせんね。ほら、一途やから?」
「あはは」
「刈谷ちゃんこそ、もっと飲めそうな顔してるなぁ。好きなもん頼んでいいんやで。実は酒強そうやん」
「あー、まあね」
そうよね。そこは直ぐボロが出るよね。
「じゃあ、ワインいただきます」
「了解。すんません、ワイン一本」
「え? 一本?」
そんなに飲みきれる?
「ええやん。俺も飲むし」
「ああ、ならいいけど」
最初はグラスを合わせて乾杯していた。
だけど、最初の一杯以降徳田さんはまたビールに戻ってしまった。
これが一途か、ちくしょう。
残ったらどうするのよ、もったいない。仕方なく、なんとなくハイペースで飲む。
まあ、美味しいからいいんだけど。
でもさすがに飲み過ぎかもしれない。
「もう食べられないし飲めない……」
残すのも惜しいので、結局ほぼ一人で一本開けた。
会計を済ませて外にでると雨は止んでいる。
私の傘を手に持って歩き出した徳田さんの後を、少しふらつきながらついていく。
転びかけて徳田さんの肩にぶつかったら、彼は私の肩を支えてくれた。
徒歩だから移動距離は少なく、いくつか店を巡ったあと、駅ビルの地中海風居酒屋に入る。
白地の壁に海をイメージした青地の波模様が描かれている。ところどころに貝殻や投網みたいなものが飾られていた。
徳田さんが食べ歩きが趣味だと言っていたのは本当みたい。彼はいろんな店を知っている。
「ハイ、飲んで飲んで」
「頂きまーす」
一応今日もカクテルを中心に頼む。徳田さんはいつもビールだ。
「徳田さんは食通だけどお酒はいつも同じなの?」
「え?」
「ほら、日本料理なら日本酒とか、この料理ならワインとか。合わせたりしないの?」
「あんまりせんね。ほら、一途やから?」
「あはは」
「刈谷ちゃんこそ、もっと飲めそうな顔してるなぁ。好きなもん頼んでいいんやで。実は酒強そうやん」
「あー、まあね」
そうよね。そこは直ぐボロが出るよね。
「じゃあ、ワインいただきます」
「了解。すんません、ワイン一本」
「え? 一本?」
そんなに飲みきれる?
「ええやん。俺も飲むし」
「ああ、ならいいけど」
最初はグラスを合わせて乾杯していた。
だけど、最初の一杯以降徳田さんはまたビールに戻ってしまった。
これが一途か、ちくしょう。
残ったらどうするのよ、もったいない。仕方なく、なんとなくハイペースで飲む。
まあ、美味しいからいいんだけど。
でもさすがに飲み過ぎかもしれない。
「もう食べられないし飲めない……」
残すのも惜しいので、結局ほぼ一人で一本開けた。
会計を済ませて外にでると雨は止んでいる。
私の傘を手に持って歩き出した徳田さんの後を、少しふらつきながらついていく。
転びかけて徳田さんの肩にぶつかったら、彼は私の肩を支えてくれた。