白黒の狂想曲~モノトーン・ラプソディー~
面と向かってその宣告をされたのは一週間前のこと。
真っ青な晴天に雀の群れが私の病室の窓を颯爽と駆け抜けた心地のいい日だった。
担当医の菅原先生が私の病室を訪れた。
その横には院長先生も居た。
私に真白という名前をくれた院長先生。
名字には院の名前を使うことになった。
私の名前は藤花 真白(とうか ましろ)そう教えられた。
藤花院は孤児院で院長は三人の仲間と一緒に身寄りのない子供たちを支えている。
親が蒸発してしまった子。
度重なる暴力から逃げるようにして施設に訪れた子。
そして、私みたいな…
「これは藤花さんとも話をしたのだが、君の病状を観て告げなければならないと判断した」
菅原先生はいつも眉間に皺を寄せているほんのちょっと怖い印象のお医者さんだった。
後で明奈さんに聞いたら、とても勉強熱心な先生で廊下を歩くときでさえも患者さんたちのことを一生懸命に考えているから、眉間に皺がよってしまっているのだと言っていた。
それが、本人の密かな悩みだとお酒を飲みながら内緒話で聞いた話を私に教えてくれた。
その時から、少し菅原先生が可愛く見えるようにもなったんだ。
「単刀直入に言うね。君の病状の進行具合からみて君に残された時間は」
院長先生が目をそらした。
「長く見積もっても後、一月だ」
その時、私の瞳から涙が溢れ
「私たちも出来る限りのことはする。だから、藤花さんも希望を持って一緒に頑張って欲しいんだ」
でることはなかった。