白黒の狂想曲~モノトーン・ラプソディー~
布団に顔を埋めてから密室独特の耳鳴りみたいな音をどのくらい聞いただろう。
たぶん時間にするとすんごく、短いんだけど私にはとっても長く感じて。
自分から喋らないで!なんて行っておきながらしびれを切らすのは私と決まっている。
「…ねぇ、クロ」
そ~っと布団を下にずらしていき、目がちょこっと出るくらいまでずらすと、私はクロがさっきまで立っていた場所を見る。
ほら、やっぱりキミはそこにいてくれている。
「なにか喋ってよ」
「喋らないでって言ったり喋ってよって言ったり、君の思考は不安定で面白いな」
なにその言い方は。
本心だって分かるから許せる。なんてよく言うけど、ここまで包み隠さずに言われるのもどうなのだろうか。
でも私もやっぱり許してしまうタイプの人間なんだな。
思わずプッと笑いがこぼれていた。
「良いの!さっきまでは喋って欲しくなかったけど、今は黙っていて欲しくないんだから」
そう言うと気のせいかもしれないけど、クロの広角が少しだけ上がったように見えたんだ。
「クロ今もしかして笑った!?
クロが笑うの初めて見た」
クロは自分で驚いていた。
「笑った?僕がかい?そんな自覚は全くなかったのだけれど」
無自覚で笑ったのだとしたらあれはクロの本心なのだろう。
言葉だけじゃなくて態度まで正直者なのだなぁ。
「ていうか、ずっと気になっていたのだけど、クロって死神?」