密室ゲーム



わざわざ何しに来た?

どういうつもりだ?



そんな思いが駆け巡る中、ふとその答えが守の頭に浮かぶ。


あの桜という女が自分を尋ねてくる理由。その思い付く理由は1つだけ。



ゲームで自分を陥れた俺を……殺しに来たんだ。



そう思うと、もう他の考えは守の頭には入ってこない。


わざとではないにしても、桜がゲームで負けたのは守が間違った答えを口にしたのが大きい。


そしてそのゲームで負けると死ぬかもしれないという状況で、嘘を吐いた者を憎むのは当然の事。


死ぬ前に恨む相手を殺してしまおうと桜が考える事は至極まっとうだ。


「殺しに……来たのか……」


守の震えた小さな声が薄暗い部屋に響く。


それと同時に右手に握っていたスタンガンをギュッと両手で握り締め、椅子から立ち上がった。


「あのー」


守が返事をしないからか、再び聞こえてくる桜の呼び掛け。


それを合図にゆっくりとドアへと向かって歩を進めていく。

< 113 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop