密室ゲーム


ドアの方へと行きたくない。

でも、行くしかない。



相反する思いがぶつかるが、守の動き出した足は止まらない。


ドアの前に立つと、再び「あのー、すみません」という桜の声が聞こえてくる。


その声に守がゴクッと息を呑んだ。


「殺される前に、……俺が……」


そう呟きながら、右手にはスタンガンを握り締めたままドアの取っ手へと左手を掛ける。



キィ……ーー



そんな音をたててゆっくりと開かれていくドアから、徐々に薄暗い部屋へと光が差し込む。と同時に、

「俺が、……コマツを殺してやる」

そうポツリと言葉を漏らした。


開いたドアから眉尻を下げた桜の顔が見えたのは一瞬で。また、桜が「あっ!」という声をあげたのも一瞬の事。


開いたドアから見えた守の顔を見て声をあげたのだろうその声は、その一瞬で消えてしまった。


守がドアを開けた瞬間、右手に持っていたスタンガンを桜の首へ目掛けて勢いよく当てた為に。

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