密室ゲーム
守の足下に転がっている恩田桜の死体。
今はこの部屋に居ない2人がこれを見たら、桜を殺したと疑われるのは間違いなく守だ。
何故なら鎖に繋がれた手足のせいで、守の入れる部屋の前まで来れるのは最初に血を吐いて死んだ由里子と今、目の前で死んでいる桜。そして守だけなのだから。
「ここに居なければ」
そう呟いた瞬間、何かを思い付いた様にハッとした顔をする守。
そして桜の身体の真横に屈み込むと、震える手で桜の鎖に繋がれた腕を手に取った。
いくら手を細い形にして頑張っても抜く事の出来ない大きさの輪。
しかしそこから手を抜く方法がある。
輪から手が抜けない理由は、輪よりも手が大きいから。手が輪よりも小さければ抜ける。
輪よりも大きい手を小さくする方法。
それは簡単に導き出される。
輪を抜けるのに邪魔となる手の骨の間接を外すか、骨を折ってしまうかだ。
生きている間にそれをする事は難しい。しかもこの今の状況で手足を無理矢理鎖と離した所で、この場所から脱け出せる保証はない。