密室ゲーム
寧ろ、動かす事が出来ない手と足、それに伴う激痛を考えたなら、今はまだ無理矢理手足を抜くべきではないのだ。だが、それは生きているならの話。
守の目の前で倒れている桜は、……もう死んでいる。
守は桜の細い手首の骨を折ろうとゆっくりと添えた手に力を込めると、ギュッと目を閉じた。
そして一気に手の甲を腕にくっ付ける様に折り曲げる。
パキンッ……ーー
骨が折れた嫌な音が部屋に響く。
ぶらんと垂れ下がる桜の手先。それを見た守は、一瞬だけ顔を青くさせた。
が、直ぐにブンッと勢いよく1回首を横に振ると、桜の腕を引いて手首に填まっていた鉄輪から手を抜きにかかる。
思いの外、簡単には抜けてくれない桜の手。
「何だよ!……指も引っ掻かんのかよ」
抜けない事に焦る気持ちからか苛立ちが増し、荒い口調のそんな言葉が漏れる。
と同時に、今度は桜の右手の親指に手をかけた。
つい先ほどの手首の時とは違い、目を瞑る事もなく意図も簡単にパキンッという音をさせて骨を折ってしまう守。