密室ゲーム


監禁されているという今の状況と、何をしても悲鳴をあげる事のない桜という事も相まって、骨を折るという行為に、たった1回で慣れてしまったせいなのだろう。


骨の折れた手はぐにゃりとしていて、守が力を入れるだけでどんな形にだって容易く変形する。


手というよりはただの肉の塊。


そう思ってしまう程だ。


そして、その手を力ずく鉄輪から引き抜いていく。


キュッと普通では有り得ない程細くなる手から鉄輪が外れるのは直ぐで。鉄輪から桜の手が抜けた瞬間、守がニヤッと笑った。



外れた。

足もこうやって外してしまえば、この女をこの場所から移動させられる。

そしたら、……誰も俺が殺したなんて思われねぇ。



手に続いて足へと手をかける守の頭の中は、そんな自分が疑われないという事への安堵のみ。


そして躊躇する事なく、桜の足の骨をパキンッと鳴らした。


鉄輪から引き抜かれた桜の手足。だが、その手足は自由を手にしたのに動く事はない。

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