密室ゲーム
自分の住んでいる所と全く同じだという事に怯えるのではなく、少しだけ落ち着きを取り戻した桜は、ゆっくりとこの部屋をチェックしていく。
配置は同じだが、キッチンのメーカーは違っていたり、部屋の壁に埋め込まれた様な姿見があったりと自分の家とは多少違いがあるその部屋。
「これって、……私をここに連れてきた犯人は、……私の家の事をよく知っていたって事?」
思わずそんな独り言が漏れる。
ほぼ桜の家と同じ様な雰囲気の部屋だが、その部屋の中で最も目についた場所があった。
キッチンのシンクの右横にあるワークトップだ。
明らかにこの部屋に入った者の目に付く様にされているその場所。
ワークトップの上には、4つ折りにされた白い紙と小さな鍵。それと小さな青い小瓶が置かれていたのだ。
3つの内、桜が先ず始めに手に取ったのは白い紙だ。
わざわざ中が見えない様に4つ折りにしてあるって事は、何か書いてあるってことよね。
そう思って恐る恐る紙を開いていくと、そこに書かれていたのはたった2行の文のみ。
『あなたの憎む人がこの中に居ます。
この鍵はその人の足枷を外す鍵です』