密室ゲーム
その文に目を通すと、眉間に皺を寄せキリッと右手の親指の爪を噛む桜。
つまり、……ここにわたしが憎む相手が居るって事になるのよね。
私の憎む相手……
そんなの、…………私の人生を狂わせたあの女に決まってる。
ユウキを取ったあの女に。
憎しみから桜の頭を過るのは、茶色の腰までの髪にバッチリ化粧をした川瀬由里子と名乗った女の顔だ。
この場所に居るのは桜も含めて5人。その内、女性は2人。
自分を外してしまえば、残るのは川瀬由里子のみ。
この紙に書かれた内容が正しければ、桜が最も憎むユウキを取った女は川瀬由里子となるのだ。
「あの女が、……私の幸せを壊した」
怒りで震える手をギュッと握り締めると共に、持っていた紙もくしゃっと音をたてる。
しかし、くしゃくしゃになった紙を気にする事もなく、スッと鍵へと視線を向けた。
小さな鍵。
その鍵は明らかに自分の足枷にある鍵穴と同じ大きさだ。
一応、自分の足枷の鍵穴へ差し込んでみるも、カチャカチャという音をさせるものの上手くはまらない。