密室ゲーム
修二にとってはたったそれだけの理由。しかし、その行動が桜にとっては好機となる。
全員にお茶が行き渡ると、じっと由里子を見つめる桜。
正確には由里子の手にある紙コップを…だろうか。
由里子は喉が渇いていたのか、紙コップの中のお茶を口へと運ぼうと手を動かす。
その光景に喜びと興奮から桜の心臓がバクバクと大きな音をたてる。が、その時、守のお茶を疑う言葉によって由里子の手が止まった。
ただ、桜にとってはこの守の言葉ほど予想通りの事はない。
寧ろこの守の言葉のお陰で、由里子のお茶への疑いが消えるのだ。
お茶への疑いを晴らすのは簡単な事。
さっきまでお茶の入っていた自分の紙コップを逆さにし、怯える様にもう飲んでしまったと言うだけ。
それを桜が実行に移すと、4人はいとも簡単に信じてしまい、由里子の紙コップを持っている手が再び口元へと向かって動き始めた。
喉を動かして、美味しそうにお茶を飲む由里子。