密室ゲーム


だが、そんな光景は一瞬のもので。直ぐに呻き声と共に真っ赤な鮮血を口から吐き出した。


喉を掻きむしる様にしながら血を吐き続けのたうち回る由里子。


その姿を目の前にして、桜は思わず笑ってしまいそうになる口元を右手の掌で隠した。



人のものを盗る卑しい女の哀れな末路。

とってもお似合いよ。



そんな気持ちを胸に溢れさせながら。


由里子が自身の吐いた鮮血の中でピクリとも動かなくなると、死んだかどうかの確認を左隣に位置する哲夫がする。


結果、死亡。


桜の憎む相手はこの世から消えたのだ。


順調に進んだ由里子殺害の計画。それだけでなく、お茶に毒を入れたのでは?と疑われても、修二の言葉で疑いすらも消えるという現状。



これ程ついている日はない。



そう思うと、少し俯き密かにニタッと笑う。


だがその時、守が何かを思い出した様に口にした言葉に背筋が一気に凍りついた。


『幼児誘拐殺人犯』という言葉に。

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