密室ゲーム
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外灯が殆どなく、ほぼ黒に染まった海辺にある倉庫が連なる細い道。
当時19歳だった桜が家に帰る近道としてその道を通った時、ふと目に入ったのだ。
真っ黒な服に真っ黒な帽子を被った人の後ろ姿。その右肩に俵担ぎの様に担がれている黒い布の様なもの。そして黒い布の様なものから、だらんと垂れ下がっている小さな足が。
その真っ黒な人は、桜に見られていると気付く事もなく、倉庫と倉庫の間の細い道へと向かって歩を進めていく。
誰にも見られない場所を探すかの様に。
ニュースでもその話題ばかりという程、取りざたされていた幼児誘拐殺人の話と、その目に入った異様な光景が桜の頭の中で合致するのは直ぐで。
その瞬間、携帯で即座に警察に通報したのだ。
ただ通報したものの、もしあの殺人犯に自分の身元がバレてしまったらと思うと怖くて名前も名乗らずに通話を切ると、慌ててその場を走り去った。
桜にしたら、ただ怪しい人がいると通報しただけの事。
だが、次の日のニュースで桜の直感は正しく、桜の見たあの怪しい人物は本当に『幼児誘拐殺人犯』だったと判明したのだ。