密室ゲーム
警察が駆けつけた時には既に犯人はおらず、誘拐された子供だけがあの細い道に踞っていたらしい。
この後、ぱったりと幼児誘拐殺人は起こらなくなり、誘拐された子供が助かったのはこれっきりとなった。
…………ーーーー
結果として、桜の通報により子供は助かった。と、同時に幼児誘拐殺人犯は桜の通報により初めて誘拐した子供を殺すのを失敗したとも言える。
ただ、これを切っ掛けに身を隠したと思われる犯人は今現在も捕まっていない。
どうやら守は、自分達をここに連れてきて監禁した犯人がその幼児誘拐殺人犯だと思っているらしい。
が、話しは途中で流れを変える。
幼児誘拐殺人事件が今の現状になんらかの関わりがあるのはほぼ間違いないだろう事。
幼児誘拐殺人犯が自分達の中にいる可能性もあるという事。
そして、幼児誘拐殺人犯がいると言い出した守が一番怪しいという風に。
もし、……時任守が幼児誘拐殺人犯だったとしたら。
自分の入った部屋にあったものと同じ内容の書かれた紙を彼も持っていた。
なら間違いなく、
…………守の憎む相手は私だ。
そう思うと、桜の目にはもう守があの時の子供を担いでいた幼児誘拐殺人犯に見えてしかたがない。