密室ゲーム
幼児誘拐殺人犯は、桜の通報で初めての失敗をおかし、身を隠さなければならなくなった。
つまり、桜が通報しなければ失敗をおかさなかったという事になる。
失敗したのは桜のせい。
そんな桜は幼児誘拐殺人犯の憎む相手に一番しっくりくる。
しかも、次のゲームによって守が幼児誘拐殺人犯だという可能性が桜の中で急激に高まった。
守は由里子に毒薬入りのお茶を桜が飲ませた事を知らず、多分気付いてもいないだろう。
もし、守がゲームで負けたら死ぬのかもしれないという言葉を鵜呑みにしていたとしたら。
わざと桜を負かそうとするだろうと簡単に想像がつく。
そして、守はそれをしたのだ。
ただでさえ幼児誘拐殺人犯じゃないかと疑っていたのに、わざとじゃないと言う守の言葉なんてゲームに負けた桜が信じれる筈もない。
ゲームが終わると、守が部屋に逃げ込むように入っていったドアを睨み付けながら、キリキリと右手の親指の爪を噛む桜。
恐怖と苛立ちが混ざり合った感情が桜の中で蠢く。