密室ゲーム
自分以外の2人も守が幼児誘拐殺人犯じゃないかと疑っている現状。
やっぱり。……ほぼ間違いなく、時任守が幼児誘拐殺人犯だ。
それを確信した桜は、胸の辺りの服を両手でギュッと握り締めると、
「そ……ですか。なら、守さんの憎む相手はきっと、…………私です」
そう言葉を紡いだ。
それに目を見開いて驚く哲夫。
「えっ!?何で桜さんが?」
思わず口をついた様なその疑問は、哲夫の本心からのものだろう。
「わ、私、……私が、…………13年前に幼児誘拐殺人犯を見掛けて警察に連絡したんです」
そこまで言うと、次は修二が桜の方に身を乗り出す様にしながら口を開く。
「もしかして、奇跡的に誘拐された子供が助かったというやつですか?」
「……はい」
桜のその答えを聞くと、修二がギュッと眉間に皺を寄せた。
しかしそんな修二の様子も一瞬のもので、直ぐにうーん…という哲夫の声が桜の耳に聞こえてきた。
「それは、……幼児誘拐殺人犯にとっては憎む相手になるかもしれないね。幼児誘拐殺人犯は確かその事件からパッタリ姿を消してたから」
「そう……だと思います」
幼児誘拐殺人犯に狙われるのは確実に自分だと分かっている桜。
だからこそ、今この場でこの2人にその事を伝えたのだ。