密室ゲーム


桜にとっては修二は年齢的に幼児誘拐殺人犯である可能性がゼロであるから、一番安心出来る相手なのだ。


「すみませんが、もし桜さんの部屋に急須があるなら借して貰えませんか?」

「急須ですか?」

「はい」



何で急須?



と思ったものの、深入りをするような仲でもない。


特にこれといって自分にとって害のない者からの頼み事をここで断る理由もなく。


「確かあったと思うので少し待っていて下さい」


少し頭を下げそう言うと、再び部屋に向かって歩を進めた桜。


そのまま部屋に入るとキッチンに向かい、紙コップを見付けたキャビネットを開く。


紙コップを見付けた時に鍋と一緒に急須があったのを覚えていたのだ。


白地に花柄のその急須。


それ手に取ると、修二を待たせてある5角形の部屋へと戻った。


「あの、これで大丈夫ですか?」


壁に凭れて立って待っていた修二にその急須を手渡すと、修二は急須の蓋を開け中を確認しだす。

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