密室ゲーム
何で?
何で?何で?何で?
何で、…………毒薬入りのお茶を川瀬由里子に飲ませた事を知ってるの?
一番上の紙コップに毒薬が入っていたのを見ていた?
……いや、でも彼の居た位置からは見えない筈。
なら、……何故?
そんな疑問が一気に桜の頭を駆け巡るが、答えには辿り着かない。
ただ、今の修二の言葉でハッキリした事がある。
修二は桜が毒薬を入れたお茶を知っており、更にそれを川瀬由里子に飲ませようとしていた事まで分かっていたのだ。
そして、それを手助けする様にあの紙コップを由里子に誘導した。
女性に綺麗な方をなんて考えからなんかではなく、死を手渡す為に。
自分がした事がバレていた事で震える足を無理矢理動かすと、キッチンの部屋へと向かってゆっくりと進んでいく。
幼児誘拐殺人犯ではないだろう修二。
最も桜が安心出来る相手だった筈なのに、それがひっくり返る。
誰かを頼るなんてしちゃいけない。
ここに頼れる相手なんていやしない。
頼りになるのは自分だけ。
そう痛感させられる。