密室ゲーム


明日から通報された事で警察の目がより一層厳しくなり、快楽を得る為にしていた行為を止めなくてはならなくなるだろう。

ああ……、ほんと。

誰か知ってたら、……殺してやるのに。



そんな風に通報した誰かへの殺意が膨らむも、だからといって自分に不利になる行動は13年間で一度も起こさなかった。



…………ーー


犯罪を犯さなくなったこの間、哲夫は目立たない様に暮らし、警察の捜査も潜り抜けられる様に、細身だった体格をガッチリとした体型へと変化させるという周到ぶり。


悪い事には一切手をつけず、普通に生きてきた様に見せ結婚し、今では娘までいる。


今の哲夫は誰に聞いても至って普通のサラリーマンと答えるだろう。


「それにしても、桜さんの鎖は?」


修二からのその問い掛けで、過去を思い出していた哲夫の意識がまたこっちへ戻ってくる。


桜のいる位置から、既に鎖が繋がっていない事に修二も気付いたのだろう。

< 161 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop