密室ゲーム
苛立ちをぶつけるには相手が必要で、その相手にピッタリな人物が、今、近くにいる。
カタカタカタ……ーー
修二がキーボードを叩く音が部屋に響く。
『コマツ』というハンドルネームで画面に打たれていく文字は最初こそ普通の会話をしていたが、頃合いを見計らってフォトへのコメントへ。
『あんたが何してるか知ってるww』
たったその一文。
たが、その影響力は抜群で。窓から見える男は明らかに動揺した様に肩を揺らした。
その様子を見て楽しくて仕方がないという風に修二がニヤつく。
修二には特に金が欲しいとか、そんな気持ちは一切ない。
修二にあるのは、誰かを脅し、脅した相手の絶望に震える姿を見るのが楽しいという気持ちだけ。
自分と同じ様に、外の世界に恐怖を感じるようになればいい。
そんな気持ちが強いのだ。
修二がそうなってしまった元凶は、幼児誘拐殺人犯に誘拐された事が全ての始まりだと言える。
その負の連鎖の始まりがたった今、消えた。