密室ゲーム


ーーーーー

「幼児誘拐殺人犯のアンタを消すチャンスをくれた犯人に感謝するよ」


そう呟くと、動かなくなった哲夫へと向かって歩を進めていく修二。


転がっている哲夫の身体の前まで行くと、そっと腰を屈める。


哲夫の入れた部屋にある人形の様になったその姿に、ふっ…という嘲笑う声が漏れた。



あんなに怖くて、外に出る事も出来なくなってしまったのに。

コイツは、……こんなに簡単に死ぬのか。



そんな思いが修二の頭を占める。


「思っていたよりも、……バカだったってだけか」


そう独り言を言うと共に、哲夫のスボンの右ポケットに手を突っ込んだ。


ポケットの中にある小さくて固い物に修二の指先がぶつかる。それをグッと掴み取ると、スッと手をポケットから出した。


修二の手の中にあるのは、哲夫の手枷を外した鍵。


それを左手で持つと、自分の手枷にある鍵穴へと
ゆっくりと差し込んでいく。

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