密室ゲーム


鍵は途中で引っ掛かる事もなく簡単に奥まで到達し、修二が鍵を右に回すと共にカチャ…という音を響かせた。


「やっぱり、こういう事だと思った」


にんまりと笑ってそう言う修二の手から、ガシャン…と大きな音をたてて床に落ちる鉄の輪。それと同時に、修二の右手が自由になる。


その事に喜ぶわけでもなく、平然としたままぶらぶらと自由になった右手を振る修二。


修二にとっては、哲夫の手枷を外した鍵で自分の手枷も外せる事は予想通りの事なのだ。


修二がこの鍵についての違和感を感じたのは、2回目のゲーム説明が画面に映し出された時。


最初のゲームでは、『国語辞典が入った部屋にあった人が』というもので、川瀬由里子しか入れない部屋にあった事から、誰の鍵を貰えるかというのが明確だった。


だが2回目のゲームは、誰が絵を当てる側になってもいいという大雑把なもの。


そしてさっき見た3回目のゲーム説明で確信する。


再び誰から始めてもいいというもの。


自分達の行動を監視している犯人が、確認しながら手枷を外す鍵を寄越す様にするのかとも考えられるが、それなら最初に由里子をわざわざ指定したのが腑に落ちない。

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