密室ゲーム


そんな桜の弱味を握るのに役立ったマジックミラーが、本当にマジックミラーだったのかというのを一応確認しようと思い、その部屋に向かったのだ。


一歩部屋に入れば、マジックミラー越しに見ていたのと全く同じものが修二の目に入ってくる。


「違いは、……ないか」


そうポツリと漏らすと、自分の部屋の壁に隣接しているだろう壁へと視線を向けた。


その壁には、壁に埋め込まれた様な姿見があり、その前まで行くとそこから部屋を見渡す修二。


そして、見えた光景に納得する様に一度首を縦に振ると、今度は姿見を覗き込む。すると、普通の鏡と同様に修二の姿が映し出された。


修二の部屋が見えるなんて事はないその鏡。


桜が覗いた後に、何も気付かず離れて行ったのも頷ける。


「これがマジックミラーってわけだ」


マジックミラーの確認を終え、部屋から出ようとドアへと歩き始めた時、ふとキッチンのワークトップの上に転がっている空になった小さな青い小瓶が目に入り、足を止めた。

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