密室ゲーム
桜が全員に振る舞ったお茶と全く同じペットボトル。そして、桜の入れた部屋にあった空になった毒薬の小瓶。
由里子と同じ様に大量の血を吐いている様子から見ても、このペットボトルの中身は毒薬入りのお茶で間違いない。
それをどういう経緯で守が飲んでしまったのかは分からないが、桜が守を殺そうとして持ってきたのだろう事は予想がつく。
「桜さんに、時任守が幼児誘拐殺人犯だとけしかけたのは正解だったみたいだな」
守の無残な姿に視線を向け、修二がそう漏らす。
修二は守が幼児誘拐殺人犯ではないと知っていた。
だが、修二を憎んでいる守が自分を脅した相手が修二だと気付き、殺そうとしてくる可能性を考えて、敢えて守が幼児誘拐殺人犯かもしれないと桜に言ったのだ。
桜が恐怖から時任守をどうにかしようと行動するだろう事を見越して。
それが上手くいったという事だ。
そのお陰で、修二はもう誰にも狙われる心配をしなくてよくなったのだ。
未だにじっと守の姿を見つめていた時、
ポタッ……ーー
突然のその音に、修二がビクッと肩を揺らした。