密室ゲーム
無理矢理にでも、桜の居る場所を移動させようとした理由は、桜を殺してしまった犯人が自分だと気付かれない様にしようとでも考えたのだろう。
守ならそういう安直な考えが一番しっくりくる。
たが、問題は桜の殺され方だ。
桜は眼球をナイフで抉り取られていた事もあり、幼児誘拐殺人犯と同様の手口である事から哲夫の犯行だと思われる。
死んでいる桜の眼球を抉り取ったとも考えられるが、幼児誘拐殺人犯の哲夫がそんな事をするのかという疑問も湧く。
当時テレビで幼児誘拐殺人犯の事をコメンテーター達がこぞって、『この犯人は絶望する人の眼に興奮する可能性がある』と言っていたのを修二は覚えているのだ。
その事もあり、どちらかというと桜が生きていたと考える方が筋が通る。
桜が生きていたのなら、守は桜を殺したと思い込んでしまっただけ。
死んだと思ってしまうという状況は、相手が倒れ、声を掛けても反応を示さない場合に起こりうる。つまり気絶した状態の時だ。
このスタンガンで桜を気絶させたが、殺してしまったと思った…という所か。
なら、……このスタンガンは使える。
そう考えると、スタンガンをガシッと掴み取り、そっとズボンの右ポケットへと突っ込んだ。