密室ゲーム


修二の憎み殺したい相手は、幼児誘拐殺人犯の哲夫だけ。


哲夫の様に、人を殺す事に快感を覚えるなんて事はない。


だが、ここに修二達を連れてきた犯人がまだ分からないのもあり、自分の身を守る物を持っている方が良いと判断したのだ。


殺すまではせずに、自分の身を守る事の出来る物。


その条件には、このスタンガンが一番合う。


修二はスタンガンの入っているポケットの上をパンッと手で軽く叩くと、薄ら笑いを浮かべる。


そして、もう生きていない守には目もくれず、スタスタとドアへと歩を進めた。


5角形の部屋に戻ると、今まで薄暗かった所から明るくなった事に目を細める修二。


両目に届く光を少しでも抑えようと、右手の掌を傘の様に眉の上に置く。


そして数秒経ち、目が明るさに慣れてくると、手をどけてゆっくりと視線を上へと向けた。


天井にある画面に映したされているのは、

『赤坂修二の罪は、


…………脅し』

というもの。


修二が守を脅した事を言っているのだろう。


負けたら罪をバラすとは書かれていなかったのに、映し出されている文字。


やる事が多くて、画面が変わる音が聞こえず気付くのが遅くなったが、単純に繰り返すのは2回までという事だろう。


小学校に入学したての頃によく、『しっかり人の話を聞きましょう』と言われたのが修二の頭を過る。



これも、……お勉強って事だ。



そう思うも、フッと馬鹿にしたように鼻で笑う。


何故なら、修二にとっては今更そんな事はどうでもいい事なのだ。


もうこの場には修二しか居ないのだから。

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