密室ゲーム
修二の目に映るのは特に違和感もない木製の電気椅子だ。ただ、観察しながら掌で触っていくと、椅子の左側の肘掛けの僅かな膨らみがある所で手を止めた。
「これだ!」
声をあげると共に、その膨らみを両手で思い切り下へと押す。
と、カチッというボタンが押された様な音が部屋に響いた。
その次の瞬間、
ゴゴゴゴゴゴ……ーー
部屋を揺らす様な轟音が響き渡る。
その轟音に目を細めた修二は、その場に立ち上がると少し後ろに下がり、音の出所である天井を見上げる。
天井にあった文字を写し出していた画面がゆっくりと右側へ移動していく。
それと共に、出口だろう暗い穴が顔を出した。
人が一人通れる程度の穴が開いた所で轟音が止み、画面の動きが止まる。
そして、ガシャン…と穴からアルミで出来ているだろう梯子が落ちてきた。落ちてきた梯子は下まであるわけではなく、真下にある電気椅子にぶつからない様に短く造られており、ぶらぶらと前後に揺れている。
「椅子はスイッチであり、この梯子に足を掛ける為の補助台ってことか。誰がこんな物造ったんだよ」
複雑な仕掛けに、思わず修二からそんな愚痴が漏れた。