あなたを待っている
由希美と出会ったのは、5年前。

まだ俺が板前の仕事を覚えている最中だった。

『よろしくお願いします。』

初めて逢ったときの由希美は、子供っぽいとか可愛らしいという表現がピッタリの女の子だった。

でも由希美が一生懸命仕事を覚えようとしている姿を見ると、俺もがんばろうと思えた。

月日が経つにつれ、どんどん可愛らしいから綺麗に変化していく由希美。

俺は、いつからかわからないが、由希美を目で追っている自分に気付いた。

当時、俺には同棲している彼女がいた。

いつか結婚しようって、先のことも考えて彼女の千鶴と同棲を始めたはずなのに、いつの間に俺の目は別の女に向いてしまったんだろう。

< 16 / 76 >

この作品をシェア

pagetop